D2C事業責任者が最初に採用すべきEC人材は?年商フェーズ別の採用優先順位と正社員・業務委託の使い分け【2026年最新】
公開日:2026.10.29 カテゴリ:EC通販キャリア人材採用コラム
結論:D2C事業責任者が最初に採用すべきEC人材は、「いま売上の伸びを止めているKPIを、自分の手で動かせる人」です。多くのD2Cでは、年商1億円未満なら自社EC運用を一通り回せる「EC運用リーダー」、1〜10億円なら「新規獲得マーケター」、10億円を超えたら「CRM(LTV改善)担当」が最優先になります。一方、広告の細かな運用や制作は業務委託・代理店に任せ、「判断」と「ノウハウの蓄積」が必要な役割から正社員で採るのが失敗しにくい順番です。本記事では、年商フェーズ別の採用優先順位と、正社員・業務委託の使い分けを解説します。
- D2C事業で「最初の1人」に採用すべきEC人材の考え方
- 年商フェーズ別(〜1億円/1〜10億円/10〜50億円/50億円〜)の採用優先順位
- 正社員で採るべき役割と、業務委託・代理店に任せるべき役割
- 事業責任者が陥りやすい採用の失敗パターンと対策
D2C事業で最初に採用すべきEC人材は誰?
結論: 「職種名」ではなく、売上の伸びを止めているボトルネックのKPIから逆算して決めるのが正解です。売上は「新規顧客数×初回購入単価+既存顧客数×リピート率×単価」に分解でき、どこが詰まっているかで最初に必要な人材が変わります。
| ボトルネックのKPI | よくある症状 | 最初に採用すべき人材 |
|---|---|---|
| 新規顧客数・CPA | 広告費を増やすとCPAが合わない/LPが改善されない | 新規獲得マーケター(広告・LPO) |
| リピート率・LTV | 定期の解約が多い/2回目購入につながらない | CRMマーケター(メール・LINE・同梱物) |
| CVR・サイト運用 | 更新・キャンペーンが回らない/責任者が日々の運用に追われている | EC運用リーダー(EC店長型) |
| 在庫・粗利 | 欠品・過剰在庫が多い/モール展開で品番が増えて管理しきれない | MD・在庫管理(SCM)担当 |
経済産業省「令和7年度電子商取引に関する市場調査」によると、2025年の国内BtoC-EC市場規模は約27.6兆円(前年比5.5%増)、物販系は約15.8兆円(同3.97%増)と拡大が続いています。一方で物販系の伸びは緩やかになっており、広告で新規を取り続けるだけでなく、「どのKPIを誰が伸ばすか」を設計した採用が事業成長の差になりつつあります。
年商フェーズ別に採用すべき職種は?
結論: 年商が上がるほど「何でもできる人」から「特定KPIの専門家」、さらに「チームを動かす管理職」へと採用ニーズが移ります。弊社がご支援してきたD2C企業の傾向をもとにした目安は次のとおりです。
| 年商フェーズ(目安) | 事業の主な課題 | 優先して採用すべき人材 | 外部に任せやすい領域 |
|---|---|---|---|
| 立ち上げ期 〜1億円 |
商品の勝ち筋探し・責任者が実務を兼務 | EC運用リーダー(自社EC・モールを一通り回せるゼネラリスト) | 広告運用・制作・物流 |
| 成長初期 1〜10億円 |
新規獲得の拡大とCPA管理 | 新規獲得マーケター、CRM担当(立ち上げ) | 広告の入稿・クリエイティブ制作・CS |
| 拡大期 10〜50億円 |
LTV向上・在庫最適化・チャネル拡大 | CRM/LTV責任者、MD・SCM担当、データ分析担当 | 制作・一部のモール運用・物流 |
| 組織化期 50億円〜 |
部門間連携・再現性ある仕組み化 | EC部門マネージャー、機能別リーダー(獲得・CRM・MD) | 専門性の高い特定施策(スポット) |
なぜ立ち上げ期は「専門家」より「ゼネラリスト」なの?
年商1億円未満では、仕事の量より「種類の多さ」が課題だからです。商品ページの更新、キャンペーン設計、モール対応、外注先とのやり取りまで1人で回せる人がいると、事業責任者が商品開発や資金調達など本来の仕事に集中できます。この段階で広告運用の専門家だけを採ると、運用以外の業務が責任者に残り続けます。
年商10億円を超えたらCRMを優先すべき理由は?
顧客数が増えると、リピート率がわずかに改善するだけで売上・利益へのインパクトが大きくなるからです。新規獲得の広告費は年々上がりやすく、既存顧客の継続率やLTVを伸ばす担当者がいないと、売上が伸びても利益が残らない状態になりがちです。CRM人材の見極め方は「ECマーケター採用で失敗しないために」もあわせてご覧ください。
正社員と業務委託・代理店はどう使い分ける?
結論: 「方針を決める役割」と「顧客データ・ノウハウが社内に残るべき役割」は正社員、作業量が波打つ役割や高度な専門作業は業務委託・代理店に任せるのが基本です。
| 業務領域 | おすすめの体制 | 理由 |
|---|---|---|
| マーケ戦略・予算配分 | 正社員 | 事業判断そのもの。外部任せにすると意思決定が遅れる |
| CRM設計・顧客分析 | 正社員 | 顧客データと改善ノウハウが社内に蓄積される |
| MD・在庫計画 | 正社員 | 粗利と資金繰りに直結し、社内部門との調整が多い |
| 広告の入稿・日々の運用 | 代理店・業務委託 | 媒体ごとの専門知識が必要。社内には「評価できる人」がいればよい |
| LP・バナー制作 | 業務委託・制作会社 | 作業量の波が大きく、固定費化しにくい |
| 物流・CS | 外部委託(窓口は社内) | 規模の経済が働く。品質管理の担当は社内に置く |
注意したいのは、外部パートナーを使うほど「外部を評価・指示できる社員」が必要になる点です。代理店の提案が妥当か判断できる人が社内にいないと、広告費だけが増えて改善が止まります。業務委託から正社員への切り替えを検討する目安は、「同じ業務が半年以上続き、社内に判断ノウハウを残したくなったとき」です。
採用の優先順位を決める3つの判断基準は?
結論: 「売上インパクト」「ノウハウ蓄積の必要性」「判断の頻度」の3つで点数をつけ、合計が高い役割から採用します。
- ① 売上インパクト:その役割が改善するKPIが、売上・利益にどれだけ効くか
- ② ノウハウ蓄積の必要性:外部に任せると社内に知見が残らず、競争力を失う領域か
- ③ 判断の頻度:毎日・毎週の意思決定が必要か(頻度が高いほど社内に置くべき)
3つすべてが高い役割は、ほとんどのD2Cで「マーケ責任者(獲得またはCRM)」になります。反対に、①は高くても②③が低い制作や広告入稿は、外部活用のほうが費用対効果が高くなりやすい領域です。
事業責任者が採用で失敗しやすいパターンは?
結論: 多いのは「フェーズに合わない大物採用」「何でも屋の募集」「外部への丸投げ」の3つです。
| 失敗パターン | 起きること | 対策 |
|---|---|---|
| 立ち上げ期に大手出身の部長クラスを採用 | 予算・部下・仕組みがなく、実務が回らず早期離職 | 「自分で手を動かした経験」がある人を優先する |
| 「EC運営全般」で募集 | 経験者ほど役割が見えず応募しない | 任せるKPIと裁量(予算・決裁範囲)を明記する |
| 代理店に戦略まで丸投げ | 施策の良し悪しを判断できず、改善が止まる | 外部を評価できる社員を先に1人採る |
入社後のミスマッチを防ぐ具体策は「EC/D2C企業の早期離職はなぜ起こる?」、成長D2Cブランドの組織の作り方は「成長するD2Cブランドに共通する『組織づくり』とは?」、採用手法ごとの費用比較は「EC・D2C人材の採用方法を比較」で解説しています。
「次に誰を採るべきか」から相談したいD2C企業様へ
事業フェーズとボトルネックのKPIをお伺いし、採用すべきポジション・年収レンジ・求人票の書き方までご提案します。成功報酬型・相談無料で、EC・D2C業界特化のエージェントが即戦力人材をご紹介します。
まとめ
D2C事業責任者が最初に採用すべきEC人材は、売上の伸びを止めているKPIを自分で動かせる人です。目安として、年商1億円未満はEC運用リーダー、1〜10億円は新規獲得マーケター、10億円超はCRM/LTV責任者、50億円超はEC部門マネージャーが優先になります。判断とノウハウ蓄積が必要な役割は正社員、作業量の波がある専門作業は外部に任せ、外部を評価できる社員を先に置くことが、少ない採用人数で事業を伸ばすコツです。
よくある質問
D2Cの立ち上げ期に最初に採用すべき人材は?
年商1億円未満の立ち上げ期は、自社ECやモールの更新・キャンペーン・外注先管理を一通り回せる「EC運用リーダー」が最優先です。広告運用や制作は業務委託・代理店に任せ、事業責任者が商品開発や経営判断に集中できる体制をつくります。
新規獲得マーケターとCRM担当はどちらを先に採るべき?
顧客数がまだ少ない年商10億円未満では新規獲得マーケター、顧客基盤が大きくなった年商10億円以上ではCRM担当を優先するのが目安です。最終的には、新規CPAとリピート率のどちらが売上のボトルネックになっているかで判断します。
広告運用は内製と代理店のどちらがよい?
日々の入稿や入札調整は代理店に任せ、予算配分や戦略判断は社内のマーケターが担う「ハイブリッド型」が一般的です。社内に代理店の提案を評価できる人がいないと改善が止まるため、まずその役割を正社員で採用します。
業務委託から正社員に切り替えるタイミングは?
同じ業務が半年以上継続的に発生し、その業務の判断ノウハウや顧客データを社内に残したくなったときが目安です。特にCRM設計やMD・在庫計画は、事業の拡大とともに正社員化を検討する価値が高い領域です。
出典:経済産業省「令和7年度電子商取引に関する市場調査」(2026年10月21日公表)
※年商フェーズ別の採用優先順位は、EC通販人材エージェントのご支援実績にもとづく目安です。
1998年同志社大学卒業後、リクルートにて8年間、ITベンチャーおよびエグゼクティブ領域の人材紹介に従事。その後、クライアントであった株式会社出前館へ営業責任者として参画し、執行役員として上場を経験。
2010年ニュースター設立。2012年よりEC・通販業界特化の人材紹介事業を本格始動。 現場の最前線から経営層までを経験したからこそ分かる「企業の真の課題」と「候補者の市場価値」を見極め、一時的な転職にとどまらない中長期的なキャリア形成の支援を心がけている。
趣味は、水泳(年間300キロ)、ゴルフ、料理。日課は、朝晩の愛犬との散歩。下戸のため遅くまで飲みに行くことがなく、365日、早寝早起き。座右の銘は、健康第一。公私共に健康第一!明るく元気に!がモットー。
【URL】 https://newstar.jp/
2016年、株式会社出前館へ転職。マーケティング部のリーダーとして、サービスの急成長期における戦略立案から実行までを牽引。結婚・出産を経て、2022年4月より株式会社ニュースターに参画。
現在は、候補者と企業の間に立ち、面接調整や選考の進捗管理を一貫して担当。「スピーディーかつ丁寧な対応」を信条に、事業会社の現場を知るからこその細やかなサポートで、ストレスのない円滑な選考プロセスを支えています。新規候補者獲得に向けたウェブ施策の企画・実施も担当。マーケティング視点でサイト運営を通じて、EC通販キャリア人材とEC通販企業の出会いのチャンス、ご縁作りに取り組んでいる。




