物流の2026年問題とEC業界|送料値上げの裏側と評価が高まる人材とは【2026年最新】

公開日:2026.9.10/最終更新日:2026.9.10  カテゴリ:転職ノウハウ

「送料無料」の表示を見かけなくなった、宅配便の送料が上がった——そう感じている方も多いのではないでしょうか。背景にあるのは、2026年4月に全面施行された改正物流効率化法と、トラックドライバー不足による輸送能力の低下です。本記事では、物流費高騰がEC業界に与える影響と、この変化のなかで転職市場価値が上がる人材について解説します。

この記事からわかること

  • 物流の「2026年問題」とEC業界への影響
  • 送料値上げ・「送料無料」表示見直しの実例
  • EC事業者がとっている対策
  • 転職市場で評価が高まる人材・スキル

物流の「2026年問題」とは?EC業界に何が起きているのか

結論: 2026年4月に全面施行された改正物流効率化法により、一定規模以上の荷主企業に物流統括管理者(CLO)の選任が義務化されました。あわせてトラックドライバー不足が深刻化し、EC事業者の配送コストと配送体制に直接影響が出ています。

年間9万トン以上の貨物を扱う「特定荷主」(全国で約3,200社)には、物流統括管理者(CLO)の選任と、中長期計画の作成・定期報告が義務付けられ、違反した場合は100万円以下の罰金が科されます。あわせて、トラックドライバーの時間外労働の上限規制(年960時間、月284時間の拘束時間上限)により、輸送能力は2024年時点で14.2%、2030年には34.1%不足すると見込まれています。

送料値上げ・「送料無料」表示見直しの実例

結論: 輸送能力の不足と人件費上昇を受け、送料改定に踏み切るEC事業者が相次いでいます。

改定内容 変更前 変更後
送料(本州・四国・九州) 660円 990円
送料無料ライン 11,000円 15,400円
基本送料(5,500円未満の場合) 300円 500円

※公開情報をもとにした改定事例です。金額は企業・時期により異なります。

また消費者庁は、実際には商品価格に送料が上乗せされているだけにもかかわらず「送料無料」と表示することが誤認を招くおそれがあるとして、表示の自主的な見直しを求めています。今後は「送料込み」「配送料〇〇円」など、実態に即した表示へ切り替える事業者がさらに増えると見られます。

EC事業者がとっている主な対策

結論: 値上げの事前説明、表示の適正化に加え、体験価値の向上や物流の効率化・外部委託で影響を最小限に抑える動きが広がっています。

  • 値上げ理由を「運送コスト高騰・物流の2026年問題」として事前に顧客へ説明する
  • 配送追跡機能の充実など、価格改定の負の影響を体験価値でカバーする
  • WMS(倉庫管理システム)やAIによる需要予測を導入し、物流工程を効率化する
  • 複数の物流会社・発送代行会社と契約し、特定業者への依存リスクを分散する

転職市場で評価が高まるのはどんな人材か?

結論: 物流統括管理者(CLO)の選任義務化により、SCM・物流企画の経験者はもちろん、EC運営の中でも「物流コスト感覚」を持つ人材の評価が上がっています。

1. SCM・物流企画の経験者

需要予測、在庫最適化、複数配送業者のマネジメント経験がある人材は、CLOやそれに準じるポジションでの採用ニーズが今後さらに高まると見られます。

2. 物流コストを意識したEC運営経験者

送料設定や配送委託先の選定、物流コストを踏まえた価格戦略に関わった経験は、EC店長・EC事業責任者クラスの選考で強みになります。

3. WMS・物流システム導入の実務経験者

倉庫管理システムや配送管理システムの導入・運用に関わった経験は、物流効率化を急ぐEC企業から即戦力として評価されやすいスキルです。

まとめ

物流の2026年問題は、送料や「送料無料」表示だけでなく、EC業界の採用ニーズにも変化をもたらしています。SCM・物流企画の専門人材に加え、EC運営の実務者にとっても「物流コストを踏まえた事業運営の視点」を持つことが、これからの転職市場での差別化ポイントになります。EC業界全体の動向は、海外EC最新事情|世界市場7.62兆ドル・越境ECの動向もあわせてご覧ください。

よくある質問

Q. 物流の「2026年問題」とは何ですか?

A. 2026年4月に全面施行された改正物流効率化法により、一定規模以上の荷主企業に物流統括管理者(CLO)の選任などが義務付けられたことを指します。トラックドライバーの労働時間規制による輸送能力不足とあわせて、EC業界の送料・物流体制に影響を与えています。

Q. なぜ「送料無料」の表示をやめるEC事業者が増えているのですか?

A. 実際には商品価格に送料が上乗せされているだけであるにもかかわらず「送料無料」と表示することが、消費者の誤認を招くおそれがあると消費者庁が指摘しているためです。実態に即した表示への切り替えが進んでいます。

Q. 物流経験がなくてもEC業界でこの分野に関わることはできますか?

A. EC運営の実務経験があれば、物流コストや配送体制を踏まえた業務改善の経験を積むことで、SCM・物流企画分野へのキャリアチェンジも可能です。EC・通販業界に詳しいエージェントに相談し、自分の経験がどう活かせるか整理することをおすすめします。

Q. CLO(物流統括管理者)とはどのような役職ですか?

A. 改正物流効率化法により、特定荷主企業に選任が義務付けられた役職で、物流の効率化に関する中長期計画の策定や定期報告などを担います。経営層に近いポジションとして新設する企業も増えています。

監修者プロフィール画像
監修者
寺田 勝人
株式会社ニュースター
代表取締役

 1998年同志社大学卒業後、リクルートにて8年間、ITベンチャーおよびエグゼクティブ領域の人材紹介に従事。その後、クライアントであった株式会社出前館へ営業責任者として参画し、執行役員として上場を経験。
 2010年ニュースター設立。2012年よりEC・通販業界特化の人材紹介事業を本格始動。 現場の最前線から経営層までを経験したからこそ分かる「企業の真の課題」と「候補者の市場価値」を見極め、一時的な転職にとどまらない中長期的なキャリア形成の支援を心がけている。
 趣味は、水泳(年間300キロ)、ゴルフ、料理。日課は、朝晩の愛犬との散歩。下戸のため遅くまで飲みに行くことがなく、365日、早寝早起き。座右の銘は、健康第一。公私共に健康第一!明るく元気に!がモットー。
【URL】 https://newstar.jp/

著者プロフィール画像
この記事の担当
伊藤 梢
株式会社ニュースター
選考推進パートナー兼 WEBマーケティング
 2010年明治大学卒業後、D2C・EC業界特化のマーケティング支援会社に入社し、ECマーケティングの基礎を習得。
 2016年、株式会社出前館へ転職。マーケティング部のリーダーとして、サービスの急成長期における戦略立案から実行までを牽引。結婚・出産を経て、2022年4月より株式会社ニュースターに参画。
 現在は、候補者と企業の間に立ち、面接調整や選考の進捗管理を一貫して担当。「スピーディーかつ丁寧な対応」を信条に、事業会社の現場を知るからこその細やかなサポートで、ストレスのない円滑な選考プロセスを支えています。新規候補者獲得に向けたウェブ施策の企画・実施も担当。マーケティング視点でサイト運営を通じて、EC通販キャリア人材とEC通販企業の出会いのチャンス、ご縁作りに取り組んでいる。

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