”化粧品メーカーとして「喜びの総和」を増やす” 株式会社Sparty 榊原幸佑 取締役インタビュー
2025.1.10 カテゴリ:d2c企業インタビュー
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取締役 榊原 幸佑様
――本日は、パーソナライズシャンプー「MEDULLA」を中心に、「美容×パーソナライズ」を軸としたオリジナルブランド商品の開発及び販売をしている株式会社Spartyの榊原幸佑取締役にお話を聞きたいと思います。よろしくお願いします。
榊原取締役のご経歴/Spartyの創業について
――まずは、榊原取締役のご経歴について、また、どのようなきっかけでSpartyを創業されたのか教えてください。
大学卒業後、大手広告代理店でサラリーマンをしていました。Sparty代表の深山は、その時の同期で同じ営業職でした。
同じ部署ではなかったのですが、近いところにいて、1年目、私が残業していたりすると深山もいて。
それで仲良くなっていきました。それが代表の深山との出会いです。
――なるほど。
その後、私はベンチャー企業に転職し、深山は大手代理店を辞めて、起業しました。
深山がいくつか事業を試行錯誤していく中で、D2Cのパーソナライズのシャンプー事業をやろうと。その時に、誰かを誘いたいなというタイミングでフラフラしていたのが(笑)私でした。
大手企業もベンチャー企業も経験して、次は何をやろうかなと考えていたタイミングでした。
――それで、深山代表が起業した会社にジョインすることになったのですね。
はい。ジョインしてすぐに、いわゆる銀行からの資金調達もしましたが、
エンジェル投資家と呼ばれる、起業して間もない企業に資金を出資する投資家で賛同していただける方もいて。やるしかない状況になりました。
――なるほど。
そこから、シャンプーを作っていただく工場を探して、販売するサイトを作っていただくエンジニアを探して…ともう1個1個課題を乗り越えていきました。
――その当時、オフィスはあったのですか。
その時は、渋谷の団地にワンルーム1部屋借りていました。そこで10ヶ月やりました。
当時家賃は7万円でした。
――そうだったのですね。
その次のオフィスは、原宿で家賃20万円でしたね。寺田さんと初めてお会いしたのはその時です。約1年、原宿にいました。
――当時、社員の方もいらっしゃいましたよね。
はい。社員数が10名くらいでした。
そこから丸井グループなどの投資を受け、バックオフィスの方も採用していき、もう少し広い渋谷のオフィスに移転し、現在は恵比寿駅近くの恵比寿ビジネスタワーにオフィスがあります。
事業成長について
――なるほど。事業については創業から順調に伸びていったのですか。
事業は、パーソナライズというコンセプトが時代にはまったのもあって、おかげさまで順調に伸びていきました。コロナ禍でWEBでの購入が増えたことも正直後押ししてくれましたね。
ただ、EC業界全体が良かったことで、参入が増えました。大手企業でも、コロナ禍でECをやらないといけないとなりましたよね。
――そうですね。アフターコロナの今はいかがでしょうか。
プレイヤーが増えたのに市況感が悪いのがD2C業界の現状だと思います。我々の会社も、厳しい状況になったというのがリアルです。
ただ、粛々と商品の改良と、マーケティングのパワーアップを続けていった結果、今こうやって寺田さんの前で「人を採用したいです」と言えるくらいの事業状態で経営ができています。
なかなか調子が悪い時は、採用したいとは言えないですからね。
――社員数はどれくらいですか。
社員数は現在50名くらいですね。
化粧品メーカーになる
――今後はどのような展開を想定されていらっしゃるのでしょうか。
先ほど、コロナ禍が後押ししてくれたという話をしたのですが、外部環境要因で事業成長が決まってはいけないと思っています。
外部環境が良かったから調子がいい、ということは外部環境次第では悪くなるわけですよね。
――そうですね。
このD2C業界で外部環境関係なくずっと調子がいい会社をみると、純粋にプロダクトが良いです。
――商品が良い会社ですね。
はい。やはり、化粧品メーカーとして粛々とプロダクトを良くしていくことが重要だと思っています。
――なるほど。
最高に良いものを作るぞ!ということなのですが、それだけだと原価が高くなり、その分商品も高くなってしまう。
そうではなく、どれだけ安くいいものを作り、お客様に提供できるかを追求していきたいなと。要は、化粧品メーカーにならなければいけないと思っています。
――化粧品メーカーですか。
はい。例えば、ネット広告のマーケティングが最大の強みで、化粧品を作り販売する会社だと、インターネット広告の市況感、外部環境によって状況が変わってしまいます。
粛々と良いものを作れる化粧品メーカーであれば、販売チャネルがインターネットのFacebookになろうがTikTokになろうが、TVになろうが…に関係なく、基本的に良いものなので、勝てると思っています。
――なるほど。
どんどん我々は化粧品メーカーにならないといけない。
化粧品メーカーになるというのは、できるだけ良いものをコストを抑えてつくり、お客様に喜びを与えるという部分と、あとは、とはいえ時代に応じて販売チャネルは変わっていくので、それにマルチに対応してくことだと思っています。
販売チャネルのマルチ対応
――販売チャネルにマルチに対応ということですね。
はい。例えば弊社は、今はAmazonや楽天などのECモールでも売上をつくることが出来ています。
実は、コロナ過など数年前は、モールでの売上はほとんどありませんでした。
――そうだったのですね。
化粧品をAmazonや楽天で購入する方が一定数いらっしゃいますよね。そういった方々にも購入していただけるように対応しました。
最近では、LOFTやPLAZAなどのオフラインチャネルでの販売も好調です。
しっかりと良い商品を作った上で、日本で化粧品が売れるチャネルで販売することができる土壌をしっかり作っておけば、基本的には大きく沈むことはないだろうと考えています。
D2Cの価値を活かした商品開発
――ありがとうございます。良い商品作りには、お客様の声も参考にされていらっしゃるのでしょうか。
そうですね。D2CはDirect to Consumerの略称で、顧客と直接繋がっているビジネスでという意味ですよね。この顧客と直接繋がっていることが価値だと思います。
――なるほど。
顧客と直接繋がっていることが大きな価値であり強みなのです。
例えば弊社のメイン商品MEDULLAは、お客様のフィードバック機能があります。
お客様から「次は香りを変えたいです」という声があれば次の配送から香りを変えた商品を配送しています。
――お客様のご要望に対応されているのですね。
商品開発においても、例えば今回MEDULLAのトリートメントの形状をボトル型からチューブ型にリニューアルしました。
これもお客様からの声で「(以前の形状だと)最後まで使い切れない」というのがあったので、リニューアルした経緯があります。
――そうだったのですね。
お客様と直接繋がっているので、それが商品開発、商品改良に活かすことが出来ています。
今後もお客様とダイレクトに繋がっていることをしっかりと価値に変えていきたいですね。
――お客様の声から生まれる新商品の発売予定も。
少し前までは、1,2年に数商品の発売でしたが、より効率的な商品開発が出来るようになり、今は月に1~2個の新商品を発売できる体制になりました。
――月に1~2個ですか。
出来るだけ良いものを、効率よく開発できる仕組みが磨き続けてきました。
ですが、商品がたくさん世に出ていく中で、かつマルチチャンネルに対応していくとなると、人材リソースが足りなくなってきました。
チャネル対応と商品開発を強化するために、今回は寺田さんに採用を依頼しました。
Spartyで活躍している人材について
――なるほど。今回採用を強化されるということですが、御社で活躍している人材について教えてください。
活躍している社員の特徴は、目の前で起きるトラブルや変化をポジティブに捉えられることだと思います。
やはり、細かい業務の中には、うまくいかない局面がありますよね。
その時に、「これを解決したら良くなる」とか「自身の経験になる」というように、前向きに捉えることの出来る社員が多いです。
「勝ち馬に乗ろう」という気持ちではなく「腕試しをしよう」という気持ちの方のほうがどういう環境下でも頑張り、活躍していると思います。
――トラブルも前向きに捉えられる方ですね。
例えば商品開発と言っても、過程では色々な出来事がありますよね。色々な局面を楽しめたり、面白く感じられるタイプの方は、弊社で活躍しています。
――なるほど。
それから弊社の組織はいわゆるトップダウンではなく、ミドル層から、例えば「この商品に集中した方がいいのでは」という提案を出してもらうことも多いです。深山代表も私もそういうのを求めています。
ですので、「社長や取締役の指示に従います」という待ちの姿勢の社員の方だとバリューを出しにくいかも知れません。
――社員の方の意見を取り入れられているのですね。
当たり前なのですが、私自身も正解が分からないですよね。
メンバーの方が調べる時間があったり、思いが強いこともあるので、アイデアや意思を出し合って決める文化があります。
組織について
――組織はどのようになっているのでしょうか。
今は機能ごとに組織が分かれています。ブランド毎に分かれている通販会社さんも多いと思うのですが、弊社はマーケティング部とCRM部があり、それぞれの部が全ての商品を担当している機能別組織になっています。
――どうして機能毎の組織を選ばれているのですか。
どうしてもブランド毎にかけられる予算が異なりますよね。
組織をブランド毎に分けると、どうして会社はこのブランドに力をいれてくれないのだというような不満が生まれると思います。
――社員の方からすると、評価にも繋がりますね。
そうですね。それから、今は商品数を増やしているので、商品毎の組織では、人材も足りなくなってきます。
そういったこともあり、今は大きくマーケティング部とCRM部に分けています。
欲しい人材について
――ありがとうございます。直近の組織の状況と、今採用したい人材について教えてください。
今は、自社のWEB運用広告部隊が活躍してくれています。これも最初からスーパープレイヤーがいた訳ではなく、社員皆それぞれが成長して出来るようになっていきました。
やはり自分たちの想いや出したい表現を、自分たちでコントロールできるので自社で運用部隊があることは大きな強みになっています。
――なるほど。
このWEB運用広告部隊に、既にD2Cや広告代理店などでWEB運用広告をご経験されている方に入っていただき、さらに強化したいと思っています。
――入っていただきたい年齢層などはありますか。
先ほどお話したように、ポジティブな気持ちで腕試しをしたいと思っている方であれば、年齢関係なく来ていただきたいです。
この記事を見て、自社運用が伸びていてさらに強化したい、商品数と販売チャネルも増やしていく、その状況をご理解いただいて、ご自身の経験が活かせるかもしれないという方はぜひお会いできる機会をいただけますと嬉しいです。
――年齢を気にされないのですね。
はい。弊社には、革新的で多くの喜びを提供できる商品を作っている自負があります。
ご自身の過去のスキル、ご経験の腕試しをしたいという方をお待ちしております。
このD2C業界でやるぞ!というマインドのある方、ご自身で学んでいく姿勢がある方は活躍できる環境だと思います。
――職種でいうと、先ほどお話いただいたWEB運用広告が出来る方がメインになりますか。
あとは、商品開発も募集中です。
商品開発担当で弊社で活躍している社員は、前職OEM企業で営業や進行管理をしていたり、メーカーでOEMメーカーと向き合って商品を作っていた人が多いです。
――なるほど。
D2Cの経験に拘りはありませんが、化粧品に携わった経験がある方であれば嬉しいですね。
評価制度、リモートワークについて
――御社の評価制度などを簡単に教えてください。
まず、半年ごとに評価と昇給機会があります。また、業績に応じて、年に1回ボーナスが出ます。
――ありがとうございます。直近でオフィスの場所が変更になったと聞きました。
同じビルなのですが、4階から2階に移動になります。
2階はそこまで広いスペースではなく、同じビルの10階にありますビジネスエアポートというコワーキングスペースを併用する形になります。
――そうなのですね。
また、このオフィス移転に伴いまして、今年から「週5日出社」から「週3日以上出社、出社日以外はリモート可」に変わります。
ただ、これも弊社はベンチャー企業なので、働き方を急に切り替えることもあると思います。リモート制度が変更になる可能性もありますので、あらかじめご了承ください。
――なるほど。
変化が多いです。この変化をポジティブに捉えられる方に来ていただきたいです。
――子育て中の方はどうでしょうか。
深山代表も私も家庭があり子供がいますので、子育ての大変さに関する理解はあり、制度もあります。
例えば、今男性社員で、先月子供が産まれたので、1ヵ月育休を取っている社員もいます。別の男性社員でちょうど、育休から復帰する社員もいます。
――男性社員で育休の実績は複数あるのですね。
弊社ではコアタイム制度を導入しております。
現在は、11時~16時がコアタイムでこの時間は全員働いているのですが、始業時間や終了時間はバラバラです。そのため、保育園や幼稚園の送迎も対応可能です。
例えば、食事を家族の為に作らないといけない社員もいますよね。そういう社員は朝早めに出社して、16時に退社して、家で食事の用意をしています。もし仕事が残っていたら、20時くらいから稼働する。ということをしています。
――退社後の業務を確認するための仕組みがあるのですか。
はい、勤怠管理システムを取り入れています。
榊原取締役の野望
――ありがとうございます。榊原さんご自身の今後の野望を教えてください。
もちろん会社の売上や利益も重要ですが、1番重要なことは社会の「喜びの総和」を増やしていくことだと思います。といいますか、それに一番興味があります。
「喜びの総和」を増やしていき、結果として、売上、利益が伸び、長く愛される企業になる。そうしたきれいごとを実現するというのが、野望です。